発達障害の人が脳の「厄介な性質」を和らげるために

脳は非常にクリエティブで素晴らしい特質をもっている反面、「厄介な性質」をもっています。

これはおそらく古代からの名残ですが、カロリーを無駄に消費しないためになるべく運動を避けようとします。危険なことに遭遇しないよう新しいことへの挑戦をできる限り避けようとします。過去の失敗を思い出し、それにより挑戦する心を減退させ無気力になります。

これは厄介な性質である反面、致し方ないことです。無駄にカロリーを消費することを脳がよしとすれば、現代であれば過労死するほど働いてしまうかもしれません。脳が未知のことに対する恐怖を感じなければ危険なことに首を突っ込む羽目になります。

しかし現代を生きる私たちはある程度、脳の「厄介な性質」を克服しなければなりません。

特に発達障害の人たちは健常者に比べて「厄介な性質」がより強く表れます。

「根拠のない不安や恐怖を感じている」「劣等感を抱えやすい」「慢性疲労」「フラッシュバックが起こる」

これらは脳の厄介な性質の仕業です。

これを克服する一つは、高度な機能を司る「前頭前野」を鍛えることです。
(あくまでも克服するための一つの手段です。)

具体的に言うと、ワーキングメモリ、注意機能、メタ認知、抑制機能といった実行機能を養うことです。

発達障害の人でなくとも、現代を生きる私たちにとって必要不可欠な機能です。

”目先の快楽に溺れず、長期的な視点をもって適切な行動ができる”

”目標に向けて粘り強く取り組み、やり抜くことができる”

このような力を身につけるためにも前頭前野の力を養うことが大切なのです。

その中でも今日はワーキングメモリは前頭前野の中心的な機能です。今日はワーキングメモリの特性と鍛え方について述べていきます。

ワーキングメモリとは短期記憶を用いた情報処理能力のことです。例えば、「3、5、6、2、7」この順番で数字が聞こえてきたとします。それを順番に言ってみる。これがワーキングメモリの機能です。「3、5、6、2、7」という数列を覚えて、さらにそれを処理する。かなり高度な機能です。

このように短期記憶を処理する機能がワーキングメモリです。一般的に発達障害の方たちはワーキングメモリの機能に苦手さがあると言われています。

ワーキングメモリの弱さがあるがゆえに、うっかりミスや忘れ物、優先順位をつける、口頭における言語の記憶と理解といったことに苦手さが表出します。

発達障害を持つ人たち、特に自閉スペクトラム者の多くは雑談が苦手だと言われますが、これもワーキングメモリの弱さが一つの要因として考えられます。

先に、ワーキングメモリは前頭前野の中心的な機能であると述べました。それはつまり、ワーキングメモリを鍛えることによって前頭前野の力を養えるということになります。

それではワーキングメモリの鍛え方について説明します。

一つ目は「逆復唱」

これは先ほども述べた、数列を逆から言うというようなものです。数字を記憶しておいてそれを処理する。他にも、テレビの天気予報で「明日は晴れです。」と聞こえてきたら、それを逆から「すでれははたしあ」と言ってみる、などもオススメです。

二つ目はクロスワードパズル

自分の頭の中にある語彙を検索し、指定された文字数でタテとヨコがうまくつながる言葉を探し出すゲームです。これもワーキングメモリを鍛える上で最適なゲームです。楽しみながらできそうですね。

三つ目は料理

魚を焼いていることを覚えておきながら野菜を切る。料理のレシピを思い出しながら野菜を切る、食材を煮る、焼く。そしてそれを盛り付ける。など料理はワーキングメモリを非常に使います。

ワーキングメモリは発達障害を持つ方だけでなく、現代を生きる上でとても大切な機能です。ぜひ楽しみながら鍛えてもらえればと思います。

新井清義

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